焼き蛤 その苦悩と極楽

思えば、七輪の購入目的となったのが焼き蛤。某ビールCMに心動かされて買ったのだ。しかし世の中それほど甘くない。ビールのCMは嘘つきだ~!!そして、焼き蛤探検隊の前には長く険しいいばらの道が果てしなく続いていたのです。

突然思い立って、築地に行きました。わざわざ土曜日の朝6:30に起きて。そこで2kg1,300円の蛤を発見。大きくて身もびっしり!即ゲット。やったー。勢いであん肝も買ってしまう。あん肝はラップに包んで蒸してやるといいと教えてもらう。ポン酢で食ったら超幸福でした。まあ、これは余談。

いっしょに焼いたのは、納豆揚げと銀杏、ネギ、ナスなど。わざわざ炭は備長炭を購入した。


このように簡単に美しく開くと思ったら大間違い

 さて、焼き蛤には重要な問題があります。焼けると蛤は威勢良く開きます。テレビを見ていると、左の写真のように美しく開きます。おいしそうですねえ。でも、あなたは知るでしょう。大自然は決して人間の都合に合わせて存在しているわけではないのです。
そう。蛤を焼くと必ず身が上になって開くのです。
そして無情な重力の法則に従って蛤は一回転。あなたは叫ぶだろう。「ああああ!おいしそうな蛤の汁があぁぁぁぁっ!」
勿論私たちも何度も叫びました。そして何度も叫びながら私たちなりの手法を編み出しました。

1.貝が開く
2.すかさず汁を小皿に避難させる。
3.身が上に剥がれてきたら貝を殻ごと裏返す。
4.小皿から身に汁を垂らす。この時酒を垂らしても良い。
5.完全に火が通るまでよ~く見張る
  (危なくなったらすかさずスプーンや箸で支える)
6.焼けたらペンチなどで殻をつまんで取る。
7.食べる。汁をご飯にかけるとすごくうまいぞ。

これであなたはおいしい汁を失うことなく蛤を堪能できるのです。是非お試し下さい。しかし、汁を失わないための注意には異常なまでに神経を使います。我が家の食客さやか嬢も「神経使いすぎて肩が凝った」と証言しています。おいしいものを食べるには相応の苦労はつきものなのです。

参考までに、一般的な回避策には以下の方法があるらしいです。しかし、我々蛤研究会では全て不許可になってしまいました。教えてくれた方々すいません。

A.垂直に立てて手を離したとき、ひっくり返った方が下
  生活便利百科より。結論:だからどうした!?これは全く
  役に立たない。これはあくまで上下の見分け方。焼く面が
  蛤の上だろうが下だろうが蛤は身が上に開くのだ。我々は
  この結論を導くのに数多くの蛤を犠牲にすることになった。
  どっちが上だろうが焼き蛤の際には知ったことではないの
  だ。

B.あらかじめ蛤の蝶番をを切っておく。
  こうすると貝は始めから開かない。だから汁はこぼれない。
  しかし君はあの勢い良く開く貝の断末魔を見ずして蛤を食
  べようと思うだろうか。その蛤との真剣な命のやりとりを
  オーストラリア人のように見ない振りをして君は幸せか?
  と言うわけで却下。却下。

C.焼く面に塩または片栗粉を十分まぶしておく。
  考え方としては下側と上側の温度差を少なくして、下が先
  に貝柱が外れることを防ごうというものだ。実に論理的だ。
  うーん。しかしこれは何故かうまくいかなかったのです。
  ひょっとしたら直径7cm位を越える大きな蛤を焼くときに
  は有効なのかもしれない。なぜだめなんだろう。謎だ。



開く瞬間。異常なまでに緊張がみなぎる。