すみだ北斎美術館の残念なユーザビリティ

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美術館行くの何年ぶりだろうか。太田記念美術館のお化け特集が2年前くらいだったか。久々のしかも、昨年末にオープンしたての美術館である。
たまたま両国の客先に久しぶりに訪問したら途中にでっかい建物ができていて知った。

いつも通りひよと二人で行こうと思ったら、次男がついてくるという。デザイン系志望で高校進学したばかりでこのてのモチベーションが高いのだろうか。まあ、悪くない。ということで3人。
9時に家を出て、開館30分後の10時くらいに着き、12時くらいまで見た。常設展と特別展は、東海道五十三次。

まあ、久しぶりの美術館、しかも大好きな北斎、さらに息子に妙に変な所にこまかくねちねちと見入る鯖ひよ夫婦の展覧会閲覧方式の洗礼を受けさせることができて個人的な満足度は高かった。
親子ともども、見たことなくて、気に入った絵にも会えたし。3人とも一番は、富士の横からの昇り龍の掛け軸だった。

が、噂にはきいていたが、とにかくこの美術館、ユーザビリティがだいぶ残念だった。
ちょっと一言言っておきたいレベル。

■リアル導線は誰から見てもひどい
これは、行く前に予習したらあちこちで言ってる人がいたので知っていた。
あからさまにやばいのはエレベーターでないと展示に入れないこと。しかもエレベーターはたった2台。おそらく1台で10人が限度。これは誰がみても明らかにおかしい。階段は非常階段のみで受付の裏側。みんな思うことは同じらしく「会場へのご入場は、エレベーターのみです」と張り紙。さらに、入りの導線と出の導線が入り乱れている。混んでるときとかどうなるのか恐ろしい。
まあ、みんなそう思うよね。自虐的に「どうせ、すぐ人来なくなるから大丈夫」とか思ったのだろうか。微妙に建物の入口がわかりにくいのも減点。
1Fが受付&売店、2Fが事務所、4Fが、常設展、特別展入口、3Fが特別展続き、地下がロッカー。どういう経緯でこうなったのだろう。広さに限界があるにしてもここは工夫してほしかった。

■常設展の解説がデジタルパネルオンリー
常設展。ハイテク設備を導入してデジタルでインタラクティブなナビゲーション!といいたいのだろうか。だが、これもダメ。各作品の詳しい解説が、コーナー単位で設置されているタッチパネルでしか見られないのだ。絵のくわしい情報を見ようとするとパネルの順番待ちをしないといけない。北斎は、1枚の絵の中に本人の凝らした趣向や、当時の風俗や、時代性などが詰まっていて、それを知るか知らないかで作品の楽しめ方に大きな差が出る。まあ誰の絵でもそうなのだろうが北斎はイメージよりそういうディティールでの楽しみが大きい作家だと思う。解説は読みたいのだ。案の定ここで各所に渋滞が発生。
デジタルパネルを入れるのは良い。だが、そこでの渋滞対策や、パネルの操作が苦手な人のために作品ごとの印刷した解説は必須だろう。どうしても全面デジタル化したければ、タブレットを貸し出すとか、館内WIFIで自前のタブレットで解説が見れるようにするとかしよう。まあ、これはさすがに1年以内に印刷した解説張ると思う。いや、まじでやってください。
特別展は、毎回システムを作り直せないからだろうが、印刷で解説がついていた。これが普通。でも、パネルの更新しやすいようにCMS入れて、ここでも使えるパネル入れるって手はあるよね。紙併用前提でね。

■システムもいまいち
これ開発にどれくらいお金かかってるんだろうか。紙なしでこれに頼るならもうちょっとちゃんとしないと。
・展示の中央には、総合パネルのようなパネルが10台近く置かれているのだが、これは全部が同じものではなくテーマでわかれていたりする。だが、特にどれがどうとガイドは無く見た目は全部同じに見える。どれとどれを見たらコンプリートなのかさっぱりわからない。
・戻るボタンとかナビゲーションが練られていなくて迷う。
・冊子の閲覧モードは、指でなぞってめくるモードしか用意されておらず、反応が悪いといーっとなる。矢印タップにも対応すべき。
・スライドショーが自動でえらいスピードで動いて自分で止められない。
・絵画は拡大モードがほしい。
・パズルなどのゲームに工夫がなくてつまらない。
・そもそも、中央のパネルは常設スペースにある必要なし。外に置けばよい。
・作品のスキャンが平然と裏写りしてて雑。

■レプリカがちゃっちい
常設展は、展示のほとんどがレプリカだった。それはよい・レプリカ自体は全然否定しない。どうせ触れるわけではないし、暗い館内で鑑定眼もない自分がどこまでも本物を求めても不毛である。それより、手軽に質の高いレプリカをたくさん見せてくれた方がうれしいくらい。
が、ここのレプリカはかなり残念だった。いわゆる写真プリントっぽいつるつるコピーで、いかにもコピー。ちょっとは艶消しの紙に出すとかなんとか雰囲気出してほしい。ただし、3カ月単位で半分入れ替えるとかそういう鮮度の出し方をしようというしているのなら、ごめん。それはアリ。
そもそも、浮世絵でレプリカと言えば、現代の匠が再現したアダチ版画とかのとかを期待する。経年劣化がないのである意味、本物より正解といえなくもない。むしろこれをいっぱい所蔵してくれたら楽しい。コピーよりは高く付くけど。

■なぞの記念撮影ボード
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これはおまけ。何か展示室の出たロビーの片隅に置いてあった。いやがらせに息子に入らせたが、

なんで、北斎美術館でくりぬき撮影ボードが必要?
なんで、「河童」?
なんで、わざわざ逆光の場所に置く?(おかげで、撮影もこのザマ)

謎である。が、全体に使い勝手への意識が低いことをシンボリックに感じてしまった。

なんか後半、だんだん本業にめちゃ重なっるツッコミになってもんくたらたらだったが、

展示内容はとても楽しかった。家族3人でチケット代分は確実にエンジョイした。ありがとう!!

特別展も、「北斎だって東海道五十三次やってるんだよ」とか、こういう北斎に関するマニアックな掘り下げは、北斎専門美術館ならではだ。この調子で。
それだけに、もったいないし、これからも足を運びたいので是非何とかしてください。
まずは、常設展に印刷のパネル付けるところからお願いします。また点検に行きます。